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管理職向け WLBについて 私の施設での考え方と取り組み

こんばんわ!

 

今回は静岡県技師会の技師会誌に掲載された、『ワークライフバランスへの取り組み』についての記事をご紹介したいと思います。 

 

当方RTCの仲間が書いたものになっております。

 

以下、内容です。

 

 

 

<背景>

 放射線科主任を担当しております。当院のWLBに関する取り組みについてお話します。

 

当院放射線科は診療放射線技師12名(男性7人、女性5名)、事務2名で業務を行っています。業務内容は一般撮影(3台)、XTVMMG(3施設),CTMR、アンギオ(2台)、術中イメージ(2台)ESWL、骨密度、検診バス(2台)、上記に加えて同法人施設(2施設)と関連施設(4施設)に毎日合計2~3名の技師を派遣しています。各個人の勤務はローテーション制で、担当モダリティおよび勤務施設が毎日違います。

 

 

 

<目的>

当科がWLBに取り組む主たる目的は『職場の安定』です。ひいてはスタッフに長く勤めてもらうことです。そのための根幹となるのは、仕事と給金そして休暇、この3つのバランスをとることが重要と考えます。

 

 

<主たる取り組み>

具体的かつ明確に行っているのは以下の3つです。 

  1. 定時に帰れること

  2. 仕事の量と役割を配分すること

  3. 希望の休みを取れるようにすること

     

    出来る限り『定時で帰れる』ように担当を調整しています。当院は夕方時間外より待機制なので同法人2施設を含め毎日2~3名の当番がいます。それ以外のスタッフはほとんどの場合定時で帰宅することが出来ます。待機の回数は一ヶ月に平均して一人6~7回です。

    『仕事量』つまり勤務時間(夜間待機・呼び出し・残業含む)は、役職、役割、性別によってある程度差が生じます。なぜなら業務・勤務内容が多岐にわたるため、それに合わせて役割分担をしているからです。スタッフ一人ひとりの特性を生かした上で、自らの役割を自覚してもうことが肝要です。そして各個人にフィットするような業務・仕事量を割り振ることによって個人の意思を尊重出来るよう配慮しています。

    『希望の休み』は内容に関わらず、年間取得可能な休暇定数を全員に消化してもらうよう努力しています。とりわけ子育て世代が必要とする休みは子供の為のもので、数多く必要です。現在子供がいない、もしくは独身者には多少譲って貰う形になってしまいますが、スタッフ全員が必要なときに休暇を取れることを明示することで、安心して長く勤められるという環境を作るようにしています。

    またスタッフの体調には十分に配慮しています。本人が無理をする前に気づき声掛けが出来るよう心がけています。休養を取ることも仕事のうちとし、全員が心理的に休養を取り易い雰囲気を作るようにしています。

     

    ・子育てに関すること

    ・急な体調不良や怪我

    ・家庭の事情(家族や地域に関すること)

     

    <勤務・業務のマネージメント>

    スタッフの勤務・業務のマネージメントは技師長、主任、主任補佐の3名(男性)で行っています。ここでいうマネージメントとは業務だけでなく人間関係もさします。3人で適宜分担することで、細かい調整・確認・修正が行えるようになります。科全体の方針を短期・中期・長期的に考え、スタッフ達とも相談しながら形にしていきます。そして仕事を割り振るときは、スタッフ本人に目的を明示してから取り組んでもらいます。それは仕事の全体像を把握してもらうことで、個人にもバランスを意識して欲しいからです。しかしながら、場合によってはバランスの維持が難しい局面も少なくありません。その時は管理職自らが率先して行動することで全体のバランスを保ちます。

     

    マネージメントする上で我々が大切にしていることは、ルールとガイドラインを使い分けることです。ルールは必要ですが厳密に作りすぎると、相互の認識の違いから軋轢を生みます。さらにそれに固執すると、個人の仕事に対する思考を奪います。ですから上司が作ったガイドラインを、スタッフ全員がモラルとして認識してくれるよう促します。つまりそれは、スタッフ全員が科全体を意識した振舞いをするように求めていると言うことです。そしてそれを振舞える余裕を与えることを忘れないように心がけています。

    その時、管理する側に必要なことは明確な意思表示です。決定したことや必要なことを明示します。スタッフに安心感を持ってもらうことが個人に余裕を与え、全体の人間関係を良いほうに向かわせます。スタッフ個人に必要なことは集団の中でのアイデンティティ、つまり役割です。個人は役割を持つことで集団の中に居場所ができます。それは安心と安定を生みます。この役割は個人をよく理解すれば上司が働きかけることで無理なく作り出すことが出来ると考えます。

     

    ・共通認識事項を明示できているか

    ・仕事も休みもお互い様か

    ・負荷が高い仕事を誰がやるか

    ・休憩は誰が先に取るか

     

     

    <リスクマネージメント>

    WLBを保つ上で常に忘れてはならないのは、スタッフ全員すべからく、仕事と生活のバランスは常に安定しているわけではない、と言うことです。ですからスタッフ同士が常に持ちつ持たれつである関係が必要です。そのためには人間関係が良好である必要があります。

    良好な人間関係を構築するには比較的長い年月が必要です。ですが獲得しさえすれば科として扱える仕事は増えます。仕事が増えれば人員が増え、その結果として個人の負荷とリスクは分散されるのです。そのころには個人と科双方に選択肢は増え、ついには働き易い環境が整うのではないかと考えます。人員が増えない場合でも、良好な人間関係は横のつながりを強くしますから、それは少なからず個人に余裕を与え、様々なリスクをケアします。つまり仲間と呼べる存在がリスクを分散してくれるのです。この場合の仲間とは特別仲良しである必要は無く、チームの中での関係、言い換えれば相互の距離感が適宜取れている関係のことを言います。

     

    <コミュニケーション>

    上司と部下のコミュニケーションは基本的には個人対個人です。全員と話し、全員から聞きます。お互いの距離を近め連帯感が増すと考えるからです。なにより外堀から埋める必要がなくなるので直接感じ、直接働きかけることが出来ますから、人数が多くなると大変かと思いきや、総じて扱うよりも簡単だと感じています。普遍的な厳しさと寛容さを持って接することでスタッフとの信頼関係は得られるのだと考えます。

    また教育は組織全体のレベルを引き上げるのと同時に、重要なコミュニケーションの機会です。個々の考え方や人間性に触れることが出来ます。教育をきっかけに教える側、教えられる側の成長を促すのに最適です。

    モラルもコミュニケーションも上司の振る舞いが基準となります。部下から自発的に行われ、しかも長続きすることはありません。まず先頭を切って労力を惜しまず行動するべきは上司であり管理者だと考えています。

    またモラハラ、セクハラなどの問題は個人の感じ方の違いから起こるコミュニケーションエラーです。それだけに注視せず、背景にある人間関係を改善するために尽力するべきだと考えています。

     

    ・仕事に厳格であるか

    ・適切に寛容であるか

    ・コミュニケーションに積極的か

     

    <結語>

    当院のワークライフバランスの取り組みは大きく三つでしたが、それを軸に様々な工夫をしています。全ての事柄に持たせるベクトルは『職場の安定』です。職場の安定はスタッフの『余裕』であって、余裕とは『仲間の存在と役割』です。これらのことを意識して臨むことが重要だと考えます。そして忘れてはならないのは、スタッフ一人ひとりで組織は成り立っていて、個人を尊重することがひいては全体を成り立たせるということです。職場(ワーク)が安定していれば、結果的に私生活(ライフ)を自分らしく生きるための余裕が生まれます。

    働き易い職場にするために、スタッフ全員がルールとモラルの存在意義を理解し、それを意識して振舞います。誰かに困難が起こったときにはそれを助け、自分が困ったときに助けを請います。全員が意識を共有することが出来れば目の前の不安よりも、その先にある安心を感じとれるはずです。これが私どもの考える職場の安定であり、ワークライフバランスです。

 

 

以上です。

 

 

 

いかがでしたでしょうか?!

 

ちょっと歯の浮くようなセリフも垣間見れました(笑)

 

施設の規模や業務体系によって必要な要素は違うと思いますが、いずれにしても仲間との関係性は重要です。

 

働きやすい職場は与えられるものでなく、仲間みんなで作るものかもしれません!

 

当サイトRTCもより良いコミュニティを目指して活動していきたいと思います!

 

ご質問、ご意見お待ちしております!!